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最近の家も抜け穴アリ

  • 2008.07.01
  • しろあり関連ニュース



外来シロアリも怖いけど、数が多いのは在来種。
被害の進行も速いから、家を建てて何年も点検していないのは結構マズい。しかも最近の家には、シロアリに弱いものも少なくないそうなんです(神田 剛)

在来種の代表はヤマトシロアリとイエシロアリだ。連中は主に地中から基礎に入り、土台へ上がる。地盤をコンクリートで覆った「ベタ基礎」でさえ、ひびやすき間があれば立派な入り口になってしまう。
でも建築基準法には、「必要に応じて」予防策を講じてね、とあるだけ。
旧住宅金融公庫(住宅金融支援機構)はやや細かく、融資する家には地上1㍍以下を薬剤で防蟻処理するよう求めている(一部地域を除く)だが、これもヒノキやヒバを使えば薬剤処理は免除される。
「ヒノキやヒバも、ほかに木がないと食べます」防除業者でつくる日本しろあり対策協会理事の南山和也さんは言う。薬剤の効果も数年間。「絶対来ない木造は、ありえません」
なのに最近の家は軒が短めで、壁に雨が染みやすい。中に湿気がこもると格好の餌食となりやすい。
 しかも基礎と床の間が狭く、点検口もない家は、点検や駆除もやりにくい。
さらに厄介なのは、住宅メーカーも使うマツ科のスプルースという木。実はこれ、彼らの大好物。京大生存圏研究所の吉村剛准教授がシロアリの巣に置いた実験では見事に食い散らかされた。
 吉村さんは、壁から基礎まで外から断熱材で覆った「基礎外断熱」の家も心配する。冷暖房効果率のアップで注目の工法だが「地面に接した断熱材を食べて中をはい上がり、梁が食われた例もあるんです」

 駆除や予防は、木材に薬剤を散布・注入する工法が一般的だ。3.3㎡6千円から9千円程度が多く、有効期間は5年。ただ、使う薬や作業の段取りは事前によく確認を。
 以前は薬や匂いで頭痛やめまいを訴える人も多く、国民生活センターも度々注意を呼びかけてきた。
日本しろあり対策協会は認定した薬剤を使うよう会員に求めているが、天然成分をうたう薬のにおいに不調を訴える例も。万一に備え、業者が賠償保険に入っているか確認を。使う薬が少ない工法も。
「ベイト工法」は、家の周りにエサの木を複数埋めて誘引。食べ出したらエサに毒を盛り、巣に持ち帰させて全滅させる作戦だ。
 薬を一切使わない予防もなくはない。「月1回、床下で「蟻道」を探すんです。つぶせは一時期逃げる。それを繰り返すんです」(南山さん)。蟻道はシロアリが作るパイプ状の通路。ただ、外来のアメリカカンザイシロアリは作らないので、念のため。

業者選びは慎重に。突然、床下の無料点検と称してきたような業者に、いきなり任せるのは危険だ。
 昨年度、国民生活センターに寄せられたシロアリの相談は約1千件。何と8割が契約済みだった。訪問販売は、作業後であっても8日以内はクーリングオフが可能だ。
 南山さんも、価格表がない、見積書がない、大幅な値引きをする、その場で契約を迫る、調査もせずに床下換気扇や調湿剤を勧める、すぐ工事したがる、日本しろあり対策協会に入っていない。一つでも該当すれば要注意だ、と言う。
 実はシロアリ防除業者には免許制度がない。これは500万円未満の工事は免許不要でドラブル続発のリフォーム業界と同じ。
 
家を買わせる仕組みはしっかりあっても維持する仕組みは中途半端。そんなのアリかいって思うけど、それが「200年住宅」を推進する国の事情だ。

 

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